昔、ひとりの老農夫が深い山中に住んでいました。彼は野猿と遊ぶのを日課にするほど、鳥獣と親しんでおりました。ある日、野菜の取り入れに忙しくしているところに、例によって猿が遊びにきました。老農夫は不注意で、猿の脚に切り傷をつけてしまったのです。猿はキャッキャッと叫びながら山中へかけいりました。老農夫は困った、どうしようかと猿の足の怪我を心配していました。
老農夫は、さらに奇妙に思い、一計を案じました。石を猿の上に落として、傷をつけてみることです。用意がととのわないうちに、突然、彼の肩に去るが飛び乗ったので、猿の肩にくわが当って傷がついてしまいました。猿はすぐに走り去りましたが、しばらくして立ち止まり、ひとところの土をせわしく掘りはじめて、一種の草根を抜き取り、その草の根をたえず傷口にすりつけていました。田七人参の播種区で、農民達のあいだに伝わっている故事です。

本草綱目に田七人参を山漆としるしてあります。その意味は、漆のように傷口をしっかりと癒合することからきています。右の故事と合わせて分かりますように、田七人参の神秘的な薬効は、まず最初に止血作用の発見に始まり、やがてその驚くべき卓越した薬効が次々と証明されてきたのです。