血便とは、排便のときに、血液が糞便と混じって出てくることを言います。それもはっきりと肉眼で便に血液が混入しているのが分かるものをいいます。
血便には、小腸の疾患によるもの、大腸の疾患によるもの、肛門の疾患によるものに大別することができます。小腸の疾患による血便には、腸チフス、腸結核、腸ガン、十二指腸潰瘍、腸重積、胆石腸穿孔、白血病などの病気が考えられます。
大腸の疾患による血便には、急性大腸炎、赤痢、直腸炎、大腸ガンなどの病気の疑いがあります。肛門の疾患による血便には、直腸ポリープ、痔疾患、肛門裂傷などが原因となります。
田七人参を服用して、血便およびお血を解消した一例
「天津出身の刈氏、大便に血が出る患者です。西洋医による注射や止血薬の投与、また針を行いましても、出血はすぐにには止まりませんでした。出血が止まった後でも、1ヵ月あまり起き上がることが出来ず、そのため身体の力がなくなり、飲食も減少しました。さらに、脈拍も弱くなり、ついに重体となりました。そこで、これは出血が止まっても、お血を消失させることが出来ず、ますますお血がおりてくるのではないかと考えまして、一日に田七人参粉末を3g用いてみました。つまり、空腹時に3gを二回にわけて服用させました。三回服用のあと、大便におりますお血がわずかになり、また便の色も黒紫になりました。それからしばらく毎回の大便の時には、必ずお血がありましたが、服用五日目になりまして、お血もだんだん減少し、七日目には、お血が見られなくなりました。さらに田七人参の服用を続けました結果、十日目になって、身体に力を覚えるようになり、回復し始めました。」
このように症状の回復を見ることが出来ましたのは、田七人参のこの一種類が<金匱>に代表されるお血を取り去る特別な汁湯ということができます。なおかつ、お血を取り去る他の薬物に比較しても、田七人参はよりおだやかな作用で、もっとも適当なものであります。
血便と貧血症の併合した患者、血便・貧血症ともに効果
「楊性の少女。七歳。この子供は、貧血症および大便に出血のある患者です。彼女は、外形的にも衰弱し、飲食も思うようにいかなくて、かなり危険な状態を呈していました。以前から、中成薬、西洋薬の貧血症に効果のある薬剤を若干服用していましたが、いずれも効果があがりませんでした。そこで、当診療所へ治療に来たのであります。
腹部を検視してみますと、腹部の血管が露出しており、色も青に少し紫をおびておりまして、またその腹部は腫れ、その上に痛みがありました。両ほほは赤みを発しておりますし、熱の後にはひどく汗をかきます。目の晴白のところは、赤い糸のようです。口はかわきまして、脈拍の数は沈み、皮膚は爪先から悪くなっておりまして、毛髪はこげ、枯れたようでありました。
再三再四躊躇しましたが、<医学衷中参西録>を閲覧しまして、田七人参の特殊な効能を論じていますことが、もろもろの多くの奇怪な効果が数多く、はっきりしているのを見まして、止血に対して効果があるのみならず、またさらにお血に対しても効果があることを知り、ついに田七人参を精粉末にしまして、毎回0.7gを、朝と晩、空腹時に各一回服用させました。
服用して5日後、大便の出血が消失しました。また、さらに数日続けて服用させますと、貧血症もよくなりました。
田七人参一種類のみを用いまして、このような重症を治療することが出来ましたのは、まことに人をして不思議といわせしめる薬性の妙用であります。中・西洋諸医は、この大病を治すことはできませんでした。」