田七人参は、ウコギ科人参属の多年生草本で、人参の一種です。栽培は容易ではなく、播種してから三年ないし、七年後にようやく収穫します。そのために、産地の人々は三七人参と呼んでおり、葉の形から参三七ともいいます。普通は、田七人参と称します。
主産地は、雲南省東南部の文山県、他に広西壮族自治区の靖西、四川省、チベットなどでも栽培されています。四川省、湖北省、江西省などの地方では、野生の田七人参を産出します。最近になって、広東省海南島でも栽培に成功しています。
主産地の文山県は、田七人参の栽培に三百年余りの歴史をもち、年間を通じて雨量が豊富で、温度も適し、土壌・機構ともに"田七人参"の成長に最高の場所です。現在、中国の田七の産出量の85%はこの地で、貴重な名薬であります。 形態は、葉は人参、菊葉に似ており、厚く、支岐は細くて、菊は赤りょう色。夏と秋に花をつけ、花芯は金糸のようで、まがったつぼみがかわいい形です。香りはなく、根は小さく、味はあまくて渋味をもっています。
田七人参の分類としては、生田七(根の泥土をとり、地上茎および細根をとりさって、そのまま乾燥したもの)と、熟田七(生田七を麻袋に入れ、蜜蝋を加え、何度も振盪し、表面を光沢のある黒褐色にしたもの)とにわけることができます。この田七人参は「七頭」「筋条」「七根」「剪口」「七葉」「七花」などの各部分ごとに区分されます。とくに主要なものは「七頭」で、大きさに従って二○頭、四○頭、六○頭、八○頭、一二○頭、一六○頭、二○○頭と分けられます。田七人参は、根のみならず、葉・花も薬用に用いられ、花を用いたものでは"田七花精"があり中国では一般の薬局・店で販売されています。
田七の基源は、ウコギ科のPANAX NOTOGINSENG F. H. CHENで三七人参の根を乾燥したものです。種子の形状、葉柄基部の托葉状附属物の有無、トリテルペンの成分の差異などで、P. PSEUDO-GINSENGと田七人参が、内部構造的に異なることを、雲南省植物研究所が報告しています。また、人参の成分をサポニンの加水分解によって得られるゲニンの比較からも区別できます。田七人参の同属植物には、秀麗假人参(別名を竹節人参)、峨嵋三七、羽叶三七などがあります。
「田七人参」は、PANAXADIOL、PANAXATRIOL、鉄分、灰分(カルシウム也)、たんぱく質、脂肪、糖分などを含有しています。昔から止血作用のすぐれた性質について知られたことは、前述の通りです。「田七人参」は血を改善し、血を止める。
たとえば、切り傷をつくり、血を流している人に、田七人参粉をその止血した患部に塗りますと、ただちに血が止まります。確実に止血します。また、その破傷した場所から流出した血を、田七人参は黄水に変化させることができるのです。
最近、中国の医療研究所による精密な研究・分析によって、「田七人参」には"田七ケトン"が含まれていることが発見されました。この"田七ケトン"が、「冠状動脈疾患」「狭心症」などに卓越した効果を持つことが立証され、また、血液中のリポイド量とコレステロールを減少させ、「ふとり過ぎ」に着実に効果のあることが、科学的に証明されるにいたりました。
すなわち、動物実験により、田七粉が管状動脈中の血液量を増加させ、信金の酸素消耗量を減少させるために、心臓の負担を軽くし、信金の酸素需要と酸素の供給不足の矛盾を緩和させることが分かりました。そのために、冠状動脈疾患、狭心症の治療に卓効をもち、しかも、確実で副作用のない驚くべき薬効のあることが、立証されたのです。
このように、古来からの薬効が、最新の研究によって次々に科学的に解明・立証されつつあるのです。さらに驚くべきことは、"消化器系の癌を治す"ことが「題30回日本東洋医学会総会」で報告され、その画期的な薬効が注目されるにいたりました。とくに、日々研究が進められまして、新しい未知の用途の探索に臨床実験が重ねられています。
そして、重ねてご注目いただきたいことは、これら治療薬の効果とともに、総合的に身体を改善し、難病を予防する"田七人参"の計り知れない神秘的な性質です。
古来、中国では、この田七人参は数多くある生薬の中でも、人間の生命を延長する不老不死の秘薬中の秘薬として、"金不換"(お金にも換えられない)という名で呼ばれてきました。今、こうして科学の光があてられ、そのすぐれた効果が立証され、さらに、難病を治療する新しい用途が、次々に解明されようとしています。日本でもようやく入手が可能になり、日本独自の研究も進められつつあります。